2002年に税理士会の報酬規定が廃止されて以降、相続税申告の税理士報酬は各事務所が自由に設定しています。そのため「相場がわからない」という声が多く聞かれます。本記事では、料金の仕組みと目安を整理します。
報酬の基本的な考え方:遺産総額の0.5〜1%
相続税申告の基本報酬は、「遺産総額の0.5〜1%程度」を目安とする事務所が多くなっています。ここでいう遺産総額は、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった各種特例を適用する前の、プラスの財産の合計額を指すのが一般的です。ただし、この定義は事務所によって異なるため、見積もり時に確認しておくことが重要です。
遺産総額別の目安
難易度 | 内容の目安 | 報酬の目安 |
|---|---|---|
簡易 | 財産が預貯金中心 | 20万〜50万円程度 |
標準 | 自宅の土地建物+預貯金 | 50万〜120万円程度 |
複雑 | 複数不動産・非上場株式・二次相続対策等 | 120万円〜(個別見積り) |
加算報酬が発生する主なケース
- 土地の評価件数が多い場合(1筆ごとに加算)
- 非上場株式(自社株)の評価が必要な場合
- 相続人の数が多い場合(1人増えるごとに10〜15%程度加算されることが多い)
- 申告期限まで残りわずかで、特急対応が必要な場合
- 書面添付制度を適用する場合(無料としている事務所と加算する事務所がある)
見積もり比較で確認すべきポイント
総額の安さだけで選ぶと、土地評価の精査が浅くなり、結果的に納税額が数百万円増えてしまうこともあります。見積もりを比較する際は、以下を確認しましょう。
- 土地評価は何筆まで基本報酬に含まれるか
- 税務調査の初期対応は含まれるか
- 二次相続を見据えた試算は含まれるか
- 「遺産総額」の定義(特例適用前か適用後か)
実務のポイント
相続税申告は、税理士報酬そのものよりも、土地評価や特例適用の巧拙による税額の増減のほうが金額的なインパクトが大きくなることが少なくありません。報酬の安さだけでなく、財産目録や過去の通帳の写しなど依頼者側で準備できる資料を早めに揃えることで、報酬総額を抑えられる場合もあります。見積もりの根拠が明確な事務所を選ぶことが、結果的に満足度の高い申告につながります。