自宅に現金を保管する「タンス預金」自体は違法ではありません。しかし、その存在を隠して相続税の申告から除外することは脱税にあたり、税務調査で高い確率で発覚します。

KSKシステムとは

KSK(国税総合管理)システムは、全国の国税局・税務署をネットワークで結び、納税者の申告・納税実績や資産に関する情報を一元管理する国税庁のシステムです。被相続人の生前の所得水準や資産状況から、税務署は「本来どの程度の財産を保有していたはずか」をある程度推計できます。申告された財産額とこの推計値に大きな乖離があれば、税務調査の対象として選定されやすくなります。

具体的な調査手法

  • 過去10年分の口座履歴の確認:被相続人だけでなく相続人の口座も、過去にさかのぼって入出金が調べられます。高額(目安100万円以上)の使途不明な出金があれば、タンス預金を疑われる要因になります
  • 反面調査:取引のあった金融機関・証券会社・生命保険会社に直接照会し、資金の流れを確認します
  • 法定調書との照合:不動産・保険・有価証券の取引は法定調書によって税務署に把握されており、売却代金の行方が不明な場合は現金化して手元に残していると疑われます
  • 高額品の購入履歴:金・プラチナの売却が200万円を超える場合は支払調書が税務署に送付されるほか、百貨店の外商部や高級車ディーラーの購入者情報も把握される場合があります
  • 実地調査:税務調査官が自宅を訪れ、金庫や家具の中などを直接確認します

発覚した場合のペナルティ

タンス預金の申告漏れが税務調査で発覚した場合、無申告加算税や過少申告加算税、延滞税が課されます。意図的に財産を隠していたと認められれば、これらに代えて重加算税(35〜40%)が課され、さらに配偶者の税額軽減などの特例が適用できなくなる可能性もあります。国税庁の統計によれば、相続税の実地調査の8割以上で申告漏れが指摘されており、その多くが現金・預貯金に関するものです。

相続人が気づかず申告を漏らすケースもある

タンス預金は被相続人が周囲に秘密にして保管していることも多く、相続人自身がその存在を知らずに申告から漏れてしまうケースも少なくありません。この場合も申告漏れであることに変わりはないため、自宅内の金庫・引き出し・貴重品の保管場所は、財産調査の段階で丁寧に確認することが重要です。

実務のポイント

タンス預金を使った税負担の圧縮は節税ではなく脱税であり、発覚した場合のペナルティは本来納めるべき税額を大きく上回ることがあります。合法的に税負担を抑えたい場合は、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減、生前贈与といった正当な制度を活用することが、結果的に最も確実で安全な方法です。