「相続税がかかるかもしれないが、申告していない」——このような状態を放置すると、税務署からの指摘によって、本来の税額に加えて重いペナルティが課される可能性があります。本記事では、無申告のリスクを整理します。

「黙っていればわからない」は通用しない

税務署は、被相続人だけでなく相続人名義の口座についても金融機関へ照会する権限を持っています。不動産の名義変更情報や、生命保険金の支払調書なども税務署に集まる仕組みになっており、相続税の無申告は高い確率で発覚すると考えるべきです。

無申告加算税の税率

申告のタイミング

税率の目安

税務調査の通知前に自主的に申告

5%

通知後、調査による更正・決定の予知前

50万円まで10%、超える部分15%

税務調査を受けて更正・決定後

50万円まで15%、超える部分20%、300万円超の部分30%

※過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されたことがある場合は、税率がさらに10%加重されます。

延滞税もあわせて発生する

無申告加算税に加え、納付が遅れた日数に応じた延滞税も課されます。延滞税率は、納期限の翌日から2ヶ月以内は年2.8%程度、2ヶ月を超えると年9.1%程度(2026年時点の率)と、期間が長引くほど負担が重くなります。

財産を隠していた場合は「重加算税」に

財産を意図的に隠蔽・仮装していたと判断された場合は、無申告加算税に代えて重加算税(40%、過去に加算税を課された履歴があればさらに10%加重)が課されます。重加算税が課される場合は、延滞税の計算期間の特例(1年を超える期間の延滞税を免除する措置)も適用されなくなります。

特例が使えなくなるリスクも

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、いずれも「申告書の提出」が適用の前提条件です。無申告のまま税務調査で指摘を受けた場合、本税・加算税・延滞税に加えて、これらの特例が適用されず、本来より大幅に高い税額になる可能性があります。

実務のポイント

ペナルティの税率は「自主的に、できるだけ早く申告するかどうか」で大きく変わります。無申告に気づいた時点で、税務署からの連絡を待つのではなく、自ら期限後申告に動くことが、負担を最小限に抑える最も確実な方法です。