誰も住まない実家をそのまま相続すると、売却も賃貸もしないまま放置してしまうケースは少なくありません。しかし空き家には管理義務があり、放置すると固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。

相続人には空き家の管理義務がある

空き家を相続した場合、所有者として適切に管理する義務があります。毎日掃除するほどの必要はありませんが、周囲に迷惑をかけない程度に、倒壊や損傷、不法投棄、害虫の発生などを防ぐ管理が求められます。管理を怠ると、後述する「特定空家」等に指定されるリスクが生じます。

住宅用地の特例:更地より税負担が軽い理由

建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税は200㎡までの部分が1/6、200㎡を超える部分が1/3に軽減されます。空き家であっても建物が建っている限り、この特例は適用されるため、更地にするより税負担が軽いのが基本です。

管理を怠ると「特定空家」等に指定され特例が外れる

2015年施行の空家等対策特別措置法により、次のいずれかに該当すると「特定空家」に指定される可能性があります。

  • 倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある状態
  • 著しく衛生上有害となるおそれのある状態(ゴミの放置、害虫の大量発生等)
  • 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切な状態

2023年の法改正では、特定空家になる前段階として「管理不全空家」という区分も新設されました。窓の破損や雑草の繁茂など、より軽度な段階でも指定対象になります。特定空家・管理不全空家として市区町村から「勧告」を受けると、その時点で住宅用地の特例が解除され、固定資産税・都市計画税が大幅に増加します(土地の固定資産税だけで見ると最大6倍)。

指定を解除する方法

固定資産税は毎年1月1日時点の状態で課税されるため、その年の勧告を受けても、年内に状態を改善して指定が解除されれば、その年の税額増加は避けられます。逆に改善が翌年1月2日以降にずれ込むと、その年は特例の適用を受けられません。改善を無視して市区町村の命令にも従わない場合、強制的に解体・撤去され、その費用を所有者に請求される「代執行」に至ることもあります。

「あえて解体する」選択肢とそのデメリット

老朽化が進み管理が困難な場合、更地にして特定空家のリスクを断つという選択肢もありますが、更地にすると住宅用地の特例が失われ、通常は固定資産税が上がります。ただし近年は、特定空家に指定される前に自主的に解体した場合、条例により一定期間固定資産税を据え置く自治体も増えているため、解体前に自治体へ相談することをおすすめします。

管理が難しい場合の選択肢

  • 売却:要件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」(譲渡所得税の特例)が使える場合があります
  • 賃貸に出す:収益化しつつ管理不全を防げますが、老朽化した建物ではリフォームが必要になることもあります
  • 相続放棄:活用の見込みがない場合の最終手段ですが、相続放棄後も次の管理者が決まるまで一定の管理責任が残る可能性がある点に注意が必要です

実務のポイント

「とりあえずそのままにしておく」実家は、時間の経過とともに管理コストと税負担のリスクが増していきます。相続した段階で、売却・賃貸・管理継続・相続放棄のどれが最も合理的かを早めに検討し、遠方に住んでいて自分での管理が難しい場合は、空き家管理サービスの利用や自治体への相談も選択肢に入れることをおすすめします。