三角形やL字型、旗竿地など、正方形・長方形以外の「不整形地」は、整形地に比べて評価額が下がります。適切に補正率を適用できるかどうかで、納税額に大きな差が生じることがあります。

不整形地補正率の基本

評価額 = 整形地とみなした場合の評価額 × 不整形地補正率

不整形地補正率は0.60〜1.00の範囲で、数値が小さいほど評価減の効果が大きくなります(最大40%減)。この補正は路線価方式で評価する土地にのみ適用され、倍率方式(固定資産税評価額×倍率)で評価する土地には適用されません。倍率方式では、土地の形状による影響が既に固定資産税評価額に織り込まれているためです。

補正率を決める「かげ地割合」

不整形地補正率は、「地区区分」「地積区分」「かげ地割合」の3つから決まります。かげ地割合は、不整形地を囲む長方形(想定整形地)を描いたとき、実際の土地との差分(かげ地)が想定整形地に占める割合です。

かげ地割合 =(想定整形地の地積 - 不整形地の地積)÷ 想定整形地の地積

かげ地割合が大きいほど(=いびつな形であるほど)補正率は小さくなり、評価減の効果が大きくなります。

4つの評価方法

国税庁は不整形地の形状に応じて次の4つの計算方法を定めており、実務上はいずれか有利な(評価額が低い)方法を選択できます。

  • ①不整形地を複数の整形地に区分して計算する方法(L字型・凹型等)
  • ②不整形地の地積を間口距離で割った「計算上の奥行距離」を用いる方法(最もよく使われる)
  • ③不整形地に近似する整形地(近似整形地)を基準にする方法
  • ④近似整形地と隣接する整形地を合わせて評価し、隣接分を差し引く方法(旗竿地等でよく使われる)

計算例

路線価10万円、面積330㎡の土地で、地区区分が普通住宅地区・地積区分A、かげ地割合から不整形地補正率0.75が適用される場合、評価額は10万円×330㎡×0.75=2,475万円になります(奥行価格補正等は考慮しない単純化した例)。

間口狭小補正・奥行長大補正との関係

間口が狭い土地には「間口狭小補正率」、間口に対して奥行が長すぎる土地には「奥行長大補正率」という別の補正もあります。不整形地補正率と間口狭小補正率は掛け合わせて適用できます(ただし下限は0.60)。一方、奥行長大補正率を使う場合は不整形地補正率を使わず、間口狭小補正率×奥行長大補正率という組み合わせで計算し、いずれか有利な方を選びます。

無道路地の評価

道路に接していない、または接道義務(建築基準法上必要な間口距離の要件)を満たしていない土地を「無道路地」といいます。無道路地は、不整形地としての評価額から、さらに最大40%を控除して評価します。この控除額は、接道義務を満たすために必要最小限の通路を開設すると仮定した場合の、その通路部分の価額(路線価×地積)に相当する金額です。建築が困難な土地であることを反映した評価減といえます。

見落とされやすいリスク

一見すると整形地に近い形状でも、細かく測ると不整形地に該当し、補正率を適用できるケースは少なくありません。土地評価に不慣れな税理士が申告した場合、こうした補正の適用漏れにより、本来より高い評価額で申告してしまっていることがあります。この場合、申告期限から5年以内であれば「更正の請求」により還付を受けられる可能性があります。

実務のポイント

不整形地・無道路地の評価は、地区区分・地積区分・かげ地割合の正確な把握や、4つの計算方法から最も有利な方法を選ぶ判断力が求められる、専門性の高い領域です。土地の形状が複雑な場合や、過去の申告に不安がある場合は、土地評価の実務経験が豊富な税理士に確認してもらうことをおすすめします。