会社を経営するオーナーの相続では、自社株(非上場株式)の評価が税額を大きく左右します。上場株式と違って市場価格が存在しないため、国税庁の財産評価基本通達に基づいた独自のルールで評価する必要があります。

2つの評価方式

  • 類似業種比準方式:事業内容が類似する上場企業の株価をもとに、配当・利益・純資産の3要素を比較して算定する方式。一般に評価額が低く出やすい方式です
  • 純資産価額方式:会社を清算した場合に株主に分配される金額をベースに算定する方式。会社の含み益に対する法人税等相当額(38%。2026年4月1日以後の課税時期に適用。それ以前の相続・贈与は37%)を控除して計算します

会社規模で評価方式の使い分けが決まる

会社規模

評価方式

大会社

類似業種比準方式100%(純資産価額方式も選択可)

中会社(大)

類似業種比準90%+純資産価額10%

中会社(中)

類似業種比準75%+純資産価額25%

中会社(小)

類似業種比準60%+純資産価額40%

小会社

純資産価額方式100%(併用方式も選択可)

会社規模が大きくなるほど類似業種比準方式の比重が高まります。これは類似業種比準価額のほうが純資産価額よりも低く算出される傾向にあるため、会社規模区分の判定自体が節税に直結する重要な論点となります。

少数株主なら「配当還元方式」が使えることも

経営に関与しない少数株主が取得する株式については、直近2年間の配当実績をもとにした配当還元方式(特例的評価方式)で評価できる場合があります。原則的評価方式よりも大幅に低い評価額になることが多く、相続人の中に非同族の少数株主がいる場合は、この方式が使えるかどうかの確認が重要です。

特定の評価会社は原則として純資産価額方式に

総資産に占める株式等の割合が高い「株式等保有特定会社」や、土地等の割合が高い「土地保有特定会社」、開業後3年未満の会社などは、会社規模にかかわらず原則として純資産価額方式での評価となります。持株会社化している場合などは、この判定に該当しないか事前の確認が必要です。

実務のポイント

非上場株式の評価は、業種目の選定、会社規模区分の判定、非経常的利益の除外など、専門的な判断が数多く絡みます。評価方法によって株価が数倍変わることも珍しくなく、事業承継を控える経営者にとっては、生前のうちに評価額を把握し、必要に応じて事業承継税制などの対策を検討しておくことが重要です。