2024年1月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得した居住用マンション(区分所有財産)については、評価方法が見直されました。従来の評価額が市場価格と大きく乖離していた「タワマン節税」を是正するための改正で、多くのマンションで評価額が上昇しています。

改正の背景

従来のマンション評価額(建物は固定資産税評価額、土地は敷地権割合に応じた路線価評価額)は、市場価格の平均で4割程度にとどまっていました。特にタワーマンションの高層階では、市場価格と評価額の乖離が著しく、これを利用した節税策が問題視されたことが改正の背景です。

新しい評価方法:区分所有補正率

マンションの評価額 =(建物の評価額+土地の評価額)× 区分所有補正率

区分所有補正率は、以下の4つの指数から算出する「評価乖離率」をもとに決まります。

  • ①築年数(築年数×△0.033)
  • ②総階数指数(総階数÷33×0.239、1.0が上限)
  • ③所在階(所在階×0.018)
  • ④敷地持分狭小度(敷地利用権の面積÷専有面積×△1.195)

これら4つを合計し、定数3.220を加えた値が「評価乖離率」です。評価乖離率の逆数を「評価水準」といい、評価水準が0.6未満の場合は評価乖離率に0.6を乗じた値が区分所有補正率となり、評価額が引き上げられます。評価水準が0.6以上1以下であれば補正は行われず、1を超える場合は評価額が引き下げられる方向に補正されます。

評価額が上がりやすい・下がりやすい傾向

  • 評価額が上がりやすい:築浅、総階数が多い、所在階が高層、敷地持分が狭小(タワーマンションの高層階が典型例)
  • 評価額が変わりにくい:築古、低層マンション、敷地が広く持分割合が大きい団地型物件など

対象となる物件

新ルールの対象は、居住用の区分所有建物で、総階数3階以上の物件です。事業用オフィスや、区分所有形態でない一戸建ては対象外です。改正前(2023年12月31日以前)に取得した財産には、従来の評価方法が適用されます。

小規模宅地等の特例との関係

区分所有補正率による評価額の引き上げ後も、要件を満たせば小規模宅地等の特例(居住用は330㎡まで80%減額)は引き続き適用できます。ただし、空室や子・孫の居住用にしている場合など、特例の要件を満たさないケースでは評価額上昇の影響をそのまま受けることになります。

実務のポイント

区分所有補正率の計算は、築年数・総階数・所在階・敷地持分狭小度という複数の要素を正確に把握し、国税庁の計算明細書に従って算出する必要があります。改正後のルールを適用せず従来の方法で評価額を計算してしまうと、税務調査で過小評価を指摘されるリスクがあるため、2024年以降に相続が発生したマンションについては、必ず新ルールでの評価を行うことが重要です。