相続税には、基礎控除以外にも多くの控除・特例が存在します。使える制度を見落とすと、本来より高い税額を納めることになりかねません。本記事では、主な控除・特例を一覧で整理します。

財産評価を圧縮する特例

制度名

概要

小規模宅地等の特例

自宅や事業用地の評価額を最大80%減額

生命保険金の非課税枠

500万円×法定相続人の数まで非課税

死亡退職金の非課税枠

500万円×法定相続人の数まで非課税(保険金とは別枠)

債務控除

借入金や葬式費用を遺産総額から差し引く

税額を軽減する控除

制度名

概要

配偶者の税額軽減

配偶者の取得財産のうち1億6,000万円または法定相続分まで非課税

未成年者控除

相続人が18歳未満の場合、10万円×(18歳までの年数)を税額から控除

障害者控除

相続人が障害者の場合、年数に応じて税額から控除

相次相続控除

10年以内に2回相続が発生した場合の税額調整

外国税額控除

海外財産に外国の相続税が課された場合の二重課税調整

贈与税額控除(暦年課税分)

生前贈与加算の対象財産に既に課税された贈与税を控除

納税猶予・免除の特例(事業承継等)

制度名

概要

事業承継税制(非上場株式等)

自社株の相続税・贈与税の納税を猶予・最終的に免除

農地の納税猶予

農業を継続する場合の相続税の納税猶予

空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売却した場合の譲渡所得の特別控除(所得税の特例)

見落とされやすい控除・特例

  • 未成年者控除・障害者控除:該当する相続人がいても申告時に見落とされやすい
  • 相次相続控除:短期間に2回の相続が発生した家族に特に有効だが、認知度が低い
  • 贈与税額控除:生前贈与加算の対象になった財産について、二重課税を防ぐための控除

申告が適用の前提条件になる特例に注意

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、いずれも「相続税の申告書を提出すること」が適用条件です。これらの特例を使って税額がゼロになる場合でも、申告書自体は必ず提出しなければなりません。

実務のポイント

控除・特例は種類が多く、家族構成や財産内容によって使えるものが変わります。特に未成年者控除・障害者控除・相次相続控除は、要件に該当していても申告時に見落とされがちです。財産の内容と相続人の状況を丁寧に確認し、使える制度を漏れなく適用することが、適正な税額での申告につながります。