短期間のうちに相続が2回続くと、同じ財産に対して立て続けに相続税が課税されることになります。この過重な負担を軽減するために設けられているのが「相次相続控除」です。認知度が低い制度ですが、該当する場合は税額に大きな差が出ます。
適用の3つの要件
- 控除を受ける人が被相続人の法定相続人であること(相続放棄した人や受遺者は対象外)
- 今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人自身が相続で財産を取得していること
- その前回の相続で、今回の被相続人に相続税が課税されていたこと(前回の相続税がゼロだった場合は適用不可)
計算方法
控除額 = A × C÷(B-A) × D÷C × (10-E)÷10
- A:今回の被相続人が前回の相続で課された相続税額
- B:今回の被相続人が前回の相続で取得した純資産価額
- C:今回の相続で財産を取得したすべての人の純資産価額の合計
- D:控除を受ける相続人が今回取得した純資産価額
- E:前回の相続から今回の相続までの経過年数(1年未満切り捨て)
経過期間(E)が短いほど控除割合が大きくなり、10年を超えると控除はゼロになります。例えば経過2年なら控除割合は80%(10-2÷10)、6年なら40%という具合に、1年につき10%ずつ逓減する仕組みです。
未分割でも適用できる
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例とは異なり、相次相続控除には遺産分割の確定という適用条件がありません。申告期限までに遺産分割がまとまらず未分割申告をする場合でも、法定相続分で計算した課税価格に基づいて相次相続控除を適用できます。
申告手続き
相続税申告書の「第7表(相次相続控除額の計算書)」を作成し、控除額の根拠として前回の相続税申告書のコピーを添付します。前回の申告書は将来この控除で必要になる可能性があるため、破棄せず保管しておくことが重要です。
控除後に税額がゼロでも申告したほうがよいケース
相次相続控除で最終的な納付税額がゼロになる場合、原則として申告は不要です。ただし、相続財産を相続開始から3年10ヶ月以内に売却する予定がある場合は要注意です。譲渡所得税を軽減する「取得費加算の特例」は、相続税の申告をしていることが前提条件のため、税額がゼロでも申告をしておいたほうが有利になることがあります。
実務のポイント
相次相続控除は計算式が複雑なうえ、適用を見落としやすい制度です。10年以内に2回の相続を経験した家族は、対象になっていないか一度確認する価値があります。適用を忘れて申告していた場合も、申告期限から5年以内であれば「更正の請求」により還付を受けられます。