自宅や貸金庫から遺言書が見つかった場合、その種類によっては、開封する前に家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になります。誤って自分で開封してしまうと過料の対象になることもあるため、注意が必要です。
検認が必要な遺言書・不要な遺言書
遺言書の種類 | 検認 |
|---|---|
自筆証書遺言(自宅等で保管) | 必要 |
自筆証書遺言(法務局の保管制度を利用) | 不要 |
秘密証書遺言 | 必要 |
公正証書遺言 | 不要 |
公正証書遺言は公証役場で作成・保管されるため偽造・変造のおそれが低く、検認は不要です。法務局の「自筆証書遺言書保管制度」(2020年7月開始)を利用していた場合も同様に検認は不要で、代わりに「遺言書情報証明書」の交付を受けます。
検認とは何をする手続きか
検認は、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、遺言書の形状・訂正状態・日付・署名など、その時点の状態を記録して、以後の偽造・変造を防ぐための手続きです。「遺言の内容が有効かどうか」を判断する手続きではない点に注意が必要です。検認を終えても、内容に不満がある相続人が無効を主張することは別途可能です。
手続きの流れ
- 遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、検認の申立てを行う
- 必要書類(遺言書、申立書、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本等)を提出
- 家庭裁判所が検認期日を指定(申立てから数週間〜1ヶ月程度)
- 検認期日に相続人立ち会いのもと、裁判官が遺言書を開封・確認(当日の所要時間は10〜15分程度)
- 検認済証明書の交付を申請(遺言書1通につき収入印紙150円)
封印のある遺言書は、必ず家庭裁判所で相続人等の立ち会いのもとで開封しなければなりません。自宅で勝手に開封すると、5万円以下の過料に処される可能性があります(ただし遺言書自体が無効になるわけではありません)。
検認を放置するとどうなるか
遺言書の保管者や発見者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく検認を請求する義務があります。検認を経ずに遺言を執行すると過料の対象になるほか、検認済証明書がなければ不動産の相続登記や金融機関での相続手続きを進めることができません。相続放棄・限定承認の期限(3ヶ月)や相続税の申告期限(10ヶ月)にも影響するため、遺言書を見つけたら速やかに手続きに着手することが重要です。
実務のポイント
検認手続き自体に法律上の期限は定められていませんが、相続税申告や相続放棄には期限があります。遺言書が見つかった段階で速やかに検認の申立てを行い、並行して相続税申告に向けた財産調査を進めることが、期限内対応の鍵になります。今後遺言書を作成される方は、検認が不要な公正証書遺言や、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言を選ぶことで、相続人の手続き負担を軽減できます。